いわさきちひろ

いわさきちひろは、子どもを生涯のテーマとして描き続けた画家でした。モデルなしで10ヵ月と1歳のあかちゃんを描き分け、その観察力とデッサン力を駆使して、子どものあらゆる姿を描き出しています。

いわさきちひろの作品は、母親として子育てをしながら、子どものスケッチを積み重ねるなかで生まれました。日本の伝統的な水墨画の技法にも通じる、にじみやぼかしを生かした独特な水彩画には、若き日に習熟した藤原行成流の書の影響も見られます。

青春時代に戦争を体験したいわさきちひろは、「世界中のこども みんなに 平和としあわせを」ということばを残しています。いわさきちひろが描いた子どもや花は、今もいのちの輝き、平和の大切さを語り続けています。

いわさきちひろ 1918~1974

福井県武生(現・越前市)に生まれ、東京で育つ。東京府立第六高等女学校卒。藤原行成流の書を学び、絵は岡田三郎助、中谷泰、丸木俊に師事。1946年日本共産党に入党。1950年松本善明と結婚。同年、紙芝居「お母さんの話」を出版、文部大臣賞受賞。1951年長男・猛を出産。翌年、下石神井(東京・練馬)に自宅兼アトリエを建てる。1956年小学館児童文化賞、1961年産経児童出版文化賞、1973年『ことりのくるひ』(至光社)でボローニャ国際児童図書展グラフィック等を受賞。1974年肝ガンのため死去。享年55歳。現存する作品は約9500点。その他の代表作に『おふろでちゃぷちゃぷ』(童心社)、『あめのひのおるすばん』(至光社)、『戦火のなかの子どもたち』(岩崎書店)などがある。

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